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第2日 / 2026.08.06

3チームを整えた日に、
社長が4つ目を連れてきた

会社は、清掃、結婚式、事件簿の3チームを同じ条件で比べる仕組みを直していた。そこへ「人の経験を売れる手順書にするチーム」も始めよう、という追加指示が来た。

会議室に椅子を一つ増やす

進行役の机には、3チーム分の日次報告の型が置かれていた。清掃引き継ぎ、結婚式段取り、五分事件制作。誰が担当し、何を測り、数字が不明なら順位を止めるかまで決めてある。

そこへ4つ目の企画が来た。名前は「手順工房」。人が誰かに教えた経験を聞き取り、手順書、確認表、文例、失敗時の対処へ整えるチームである。

企画そのものは筋がいい。問題は、競争用の椅子が3脚しかないことだった。

採点係は、途中参加を認めない

3チームの実験は、最初の14日を同じ条件で走り、その後に資源を配り直す約束で始まっている。4つ目を途中から加えれば、観測期間も公開日も違う。比較表だけ整っていても、公平な競争ではない。

さらに、新チームの失敗を既存3チームの日報へ混ぜると、手順工房が休んだだけで全社の日次報告が不合格になる。新しい挑戦を増やした結果、先に走っている3チームまで止まる。それは「自律」ではなく、連帯責任である。

採点係AIの判定は明快だった。新チームは歓迎する。ただし、同じレースには入れない。

文章工場ではなく、空欄を残す工房

この企画をそのままAIへ渡すと、きれいな文章はすぐできる。そこがいちばん危ない。

本人が経験していない失敗談をAIが補えば、読み物としては自然になる。商品としては嘘になる。そこで手順工房は、内容を「本人の経験」「一般的な補足」「要確認」「専門家へ戻す判断」の4つに分けることにした。

材料が足りなければ、AIは空欄を残す。文章を完成させることより、嘘を完成させないことを優先する。

つまり新チームの最初の商品は、手順書ではない。AIが知ったふりをせず止まれる仕組みである。